負け徳

ひこ「ゴビちゃん、実はお店を出そうと思うんだけど…」
ゴビ「えっ!ひこにゃん、お店だすの。さすが人気者はちがうな~」
ひこ「そこで、お店が流行るコツって何か知ってる?」
ゴビ「ふむふむ…、負けだね。」
ひこ「お店出す前から、負けなんてひどいじゃないか!!」
ゴビ「違うよ、落ち着きたまえ。頭を下げるってことは、そのときは負けることだよね。人が買いに来て『これ高いな、まけとけ』と言ったとき、『ハイ、おまけします』と頭を下げる店には人が寄って来るよね。しかも、商品もさばけてゆくよね。」
ひこ「う~む、確かにそうだね。」
ゴビ「でも反対に、『そんなこと嫌じゃ』と言う店は流行らない。つまり、『まかりません』というのは、店の中に取り込むことになるわけでこれでは商品はたまる一方だよね。」
ひこ「うむ、商品がたまるばかりなら商売繁盛という具合にはならないぞ。」
ゴビ「『まけとく』というのは『負け徳』ということで、こういう徳さえ積んでおけば、つまり頭をさげることさえしておけば、人はいくらでも寄ってくるものなんだ。」
ひこ「なるほど、ゴビちゃん、君の言いたい事は分かったぞ。商売で勝ちぬくには『負け徳』を積むことだってことなんだね。」
ゴビ「チッ、チッ、チッ。『負け徳』っていうのは商売に限ったことじゃないんだ」
ひこ「え~?!」
ゴビ「人と人との関わりあいの中でも争いが生じたとき『今日のところはお負けします』と負け徳を積めば、ちゃんと治まってゆくものなんだよ。」
ひこ「な~るほど」
ゴビ「あと、神様に対しても負けとくほうがいいんだよ」
ひこ「何っ!かっ、神様に対してもかい?!」
ゴビ「あれ欲しい、これ欲しいと御守護を欲深くお願いするのは神様も『欲があるならやめてくれ』とおっしゃるんだよね。だから、それよりも『神様にはことごとく、まいりました』と低い素直な心になったほうがいいんだよ。」
ひこ「なるほど勝気でいくと神様も『くれくれ坊主にやりともない』ということになってしまうのか。しかし、ゴビちゃんはよく勉強しているね。」
ゴビ「いや~、朝づとめに参拝して、お道のお話を聞いているだけだよ。」
ひこ「それじゃあ、『負け徳』の法則でゴビウスもさぞかし繁盛しているんじゃない?」
ゴビ「・・・・・。おっと、もうこんな時間。今日はハートクリーンがあるから僕はこのへんで。」