心すみきれ

クマ「博士、小さい頃は、夏休みがゆっくり過ぎ去り、午後の時間はずっと続くのだと思ったりしたことがあったんですが。」
博士「わしもそういう記憶あるな~」
クマ「しかし今は、一週間どころか一カ月が走馬灯のように過ぎ去っていき、少し気を許すとすぐに半年が経ってしまうかのようです。どうしてでしょうか?」
博士「う~ん、なんでだろうね。これについては諸説あるね。この前読んだ説は興味深かったなあ。」
クマ「どんなのですか?」
博士「時間感覚は一定ではなく、脳が処理する情報量によるんだそうだ。情報が多ければ多いほど、それを理解するのにより多くの時間が必要であり、そのため、新しい発見にたくさん出合う若い時代は、時間の経過が遅く感じられるというのがあったな。」
クマ「ふ~ん、じゃあ、大人になっても新しい発見をたくさんしている人は時間が遅いのか。」
博士「そうなるね。でもゴビちゃん、年齢に関係なく何をしているかでも時間の間隔は違うよね。」
クマ「そうですね、博士」
博士「楽しいレジャーに打ち興じているとき、時計を見て、えっ、もう一時間も経ったのかといったかと思えば、反対に満員列車で立たされている人は時計を見て、まだ一時間しか経ってないのかと思う人もいるかもしれない。」
クマ「そういう事、僕もあります。」
博士「その人の置かれた立場で、こんなにも違いが出来る。」
クマ「博士、苦しい姿そのままでも、心次第で、環境に変わる事は出来きますよね?」
博士「そう。その通り心の置き方次第で出来るね。」
クマ「心の置き方が大事なんですよね。」
博士「満員列車で立っても、昔の人が歩いた事を思えば結構なはずじゃ。」
クマ「人はすぐ結構を当たり前にしてしまうんだもんね。」
博士「身上で不足不足で通るより、やはり、まだ、目が見えるではないかと喜ばして頂くことが肝心じゃと思うな。」
クマ「はい、そうですね。『よくにきりないどろみずや こころすみきれごくらくや』ですね。」
博士「そう、心すみきれだ。」
クマ「はーい。諭達第三号には、陽気ぐらしは、心を澄ます生き方であるとお示しいただいている。しっかりこころすまして、年祭活動を進ませていただこうと思います。」
博士「わしも心すまして通らせてもうらうよ。」